マンションのネットが遅いとき、入居者にできること|配線方式は要望を出せます

マンションのネットが遅い原因の3つの層。部屋の中は自分で変えられ、契約している回線は変えられる場合があり、建物の配線方式は建物所有者の同意が要る 通信

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公開日:2026年9月20日/最終更新日:2026年9月20日

スギシー

スギシー通信業界10年/元キャリアショップSV

キャリアショップにSVとして入店し、担当は光回線でした。その後はケーブルテレビの営業推進を担当し、集合住宅の回線を切り替える側にいました。いまは建物管理会社の取締役です。自宅は管理費込みの回線で、事業者を変更できません。

先に結論を書きます。

  • 遅さの原因は3つの層に分かれます。層ごとに、動かせる人が違います
  • 同じ「マンションで光」でも、上限は100Mbpsから1Gbpsまで10倍違います
  • 配線方式は入居者が選べません。建物の設備で決まります
  • ただしNTT東日本には、入居者が光配線化を要望できる窓口があります

私は集合住宅の回線を切り替える側にいました。建物の回線が変わるきっかけは、住人の声でした。

そして私自身、いまは管理費込みの回線で事業者を変えられません。両方の立場から書きます。

遅さの原因は3つの層に分かれます

原因を1つだと思うと詰まります。3つに分けると、どこまで自分で動かせるかが見えます。

マンションのネットが遅い原因の3つの層。部屋の中は自分で変えられ、契約している回線は変えられる場合があり、建物の配線方式は建物所有者の同意が要る
何の話か誰が変えられるか
層1部屋の中(ルーター・LANケーブル・置き場所)自分だけで変えられます
層2契約している回線(タイプ・事業者)自分で変えられる場合があります
層3建物の配線方式建物所有者の同意が要ります

多くの人が、いきなり層3だと思い込みます。「マンションだから仕方ない」で止まってしまう。

ですが層1と層2で直ることがあります。順番に切り分けてください。

最初にやるのは、有線で測ることです

層1かどうかは、すぐ分かります。LANケーブルでルーターに直結して速度を測ってください。

有線で十分な速度が出ていてWi-Fiだけ遅いなら、原因は部屋の中です。ルーターの規格か置き場所の問題で、自分だけで解決できます。

有線でも遅いなら、層2か層3です。ここから先が本題になります。

誤解|「マンションだから遅い」ではありません

層2の話です。ここに大きな見落としがあります。

マンションの配線方式3種類と、NTTのタイプ3段階の最大通信速度。マンションタイプ100Mbps、ハイスピードタイプ200Mbps、ギガラインタイプ1Gbps

NTT東日本の集合住宅向けのタイプは、3段階あります。

タイプ下り上り提供される配線方式
マンションタイプ最大概ね100Mbps最大概ね100Mbps3方式すべて
マンション・ハイスピードタイプ最大概ね200Mbps最大概ね100Mbps光配線方式のみ
マンション・ギガラインタイプ最大概ね1Gbps最大概ね1Gbps光配線方式のみ

同じ「マンションで光」でも、上限が10倍違います。

そして1Gbpsのタイプは、光配線方式でしか提供されません。建物がVDSL方式だと、契約だけで上限を上げることはできません。

いまの新しい建物は、ほとんどが光配線方式です。だからこそ、古い契約のまま住み続けている人ほど差が開きます。建物は1Gbpsに対応しているのに、契約が100Mbpsのタイプのままという状態があり得ます。

まず自分の契約がどのタイプかを確認してください。ここが層2です。

いずれも技術規格上の最大値です。NTT東日本の提供条件にも「実際の通信速度は、お客さまのご利用環境(端末機器の仕様等)や回線の混雑状況等により大幅に低下する場合があります」と明記されています。1Gbpsのタイプに変えれば1Gbps出る、という意味ではありません。

auには、電話線のまま速くする別ルートがあります

配線方式がVDSLでも、諦めきれない事業者がいます。

auひかりマンションの「タイプG」は、共用部から各戸まで既設の電話線を使ったまま速度を上げる仕組みです。公式の説明はこうです。

建物共用部から各戸までは既設の電話線を活用し、光ファイバーをマンション棟内の複数のお客さまで共同利用します

速度は契約によって変わります。

契約下り上り
G契約664Mbps166Mbps
V契約100Mbps100Mbps

注目してほしいのは、下りと上りが同じではないことです。G契約は下りが664Mbpsでも、上りは166Mbpsです。

動画を見るだけなら下りで足ります。ですがオンライン会議やファイルの送信は上りを使います。在宅で仕事をする人は、下りの数字だけを見て判断しないでください。

管理費に含まれていても、別に引ける場合があります

もうひとつ層2の話です。

管理費にインターネット料金が含まれていると、「変更できない」と思い込んでいる人がいます。変更できないのは事実です。含まれているものを外すことはできません。

ですがそれとは別に、自分で回線を引けるかどうかは別の話です。専有部への引き込みができる物件なら、備え付けとは別に個別契約ができます。

管理費の分は払い続けることになるので、二重払いになります。その差額に見合うかどうかが判断の軸です。在宅で仕事をする人なら、見合うことがあります。

備え付けの回線が対象事業者であれば、スマホのセット割だけを取れる場合があります。回線を変えずに月々の負担を下げる方法なので、先に確認してください。スマホと光のセット割を4社で比べた記事に、対象事業者の一覧と条件をまとめています。

誤解|配線方式は選べませんが、要望は出せます

層3です。ここが最も知られていません。

配線方式は3つあります。NTT東日本の説明はこうです。

配線方式各戸まで何で届くか
光配線方式構内の光ファイバーを用いて各戸まで接続する方式
VDSL方式光配線もLAN配線もない場合、構内に既存の電話配線を用いて各戸まで接続する方式
LAN配線方式構内にLAN配線がある場合にご利用いただける方式

そしてどれになるかは、入居者が選べません。公式にこう書かれています。

建物内設備によって3つの配線方式のいずれかの提供となります

配線方式は「申し込み後に行なわれる建物の構内環境調査によって決定される」ものです。申し込む側が指定できる項目ではありません。

VDSL方式については、提供条件に注記があります。

VDSL方式は、集合住宅内の設備状況や他回線との干渉により、通信速度が低下またはご利用になれない場合があります

他の住戸の利用が自分の速度に影響するということです。夜になると遅い、という症状はここから来ることがあります。

入居者から要望を出せる窓口があります

ここからが本題です。

NTT東日本は、光配線方式の設備(光スプリッタ)の設置要望を受け付ける特設窓口を開設しています。

対象は「VDSL/LAN配線方式の集合住宅単位で設置している住戸のお住まいの方」です。建物の所有者ではなく、住んでいる人が要望を出せます。受付はWebフォームです。

要望を出したあとの進み方も公開されています。

NTT東日本のご確認・スタッフと、管理会社様・関連業者の皆様と3者協力して実現をめざします

ただし建物所有者(管理会社)の同意が必要です。要望を出せば必ず光配線になる、という制度ではありません。窓口はあくまで入口で、決めるのは建物側です。期待しすぎないでください。それでも、「管理会社に言っても動かない」で止まっていた人にとっては、もう1つの入口が増えます。

なおこれはNTT東日本の取り組みです。西日本エリアに同じ窓口があるかは確認できていません。

売っていた側から見ると、住人の声は建物を動かしています

私はケーブルテレビの営業推進を担当していました。担当は賃貸の集合住宅です(経歴の詳細)。

仕事の中身は、建物ごと回線を切り替える提案でした。そして切り替えのきっかけは、ほとんどが住人の声でした。

  • 住人から「Wi-Fiが弱い」「速度が遅い」という声が出る
  • それを受けて、建物のオーナーが切り替えを検討する
  • 費用を負担するのは建物のオーナーです。住人ではありません
  • 全世帯を対象にした切替工事に合わせるため、通常かかる工事費が無料になります
  • その場で工事をするので、すぐに使えるようになります

3つ目が、住人にとっていちばん大事な事実です。

建物の回線を変える費用を出しているのは、住人ではありません。だから住人が交渉すべき相手は、回線事業者ではなくオーナーや管理組合になります。回線事業者に電話しても、建物の設備は動きません。

そしてオーナーが動く理由は、住人の不満です。空室が出る前に手を打ちたい、という判断で切り替えが決まります。

だから、声を上げる先を間違えないでください

売る側にいたときの実感を書きます。

提案を断られるパターンのひとつが「管理費込みで、速度も問題なく使えている」でした。逆に言えば、速度に不満があることが伝わっていれば、話は進みます。

やることは2つです。

  1. 管理会社かオーナーに、速度の不満を伝える — 測定した数値を添えると具体的になります
  2. NTT東日本の特設窓口にも要望を出す — 建物側と回線事業者側の両方から入口を作ります

片方だけでは動きにくい。両方から入れてください。

私自身は、いま変えられません

自分の話も書きます。

現在の住まいは管理費にインターネット料金が含まれているため、事業者を変更できません。選ぶ余地がない側にいます。

ただし諦めてはいません。備え付けの回線が対象事業者であれば、スマホのセット割だけは取れます。回線は変えられなくても、月々の負担は下げられます。

この記事を書いている人間が、いま選べない立場にいます。だからこそ、選べない中でできることを書いています。

判断基準|順番に切り分けます

  1. 有線で測る — 有線が速いなら層1。ルーターと置き場所の問題で、自分で直せます
  2. 契約しているタイプを確認する — マンションタイプなら上限は最大概ね100Mbps。建物が光配線方式なら、1Gbpsのタイプに上げられる場合があります
  3. 配線方式を確認する — VDSL方式なら1Gbpsのタイプは選べません。他の住戸の利用が影響することもあります
  4. 個別に引けるかを調べる — 管理費の分と二重払いになるので、その差額に見合うかで判断します
  5. 建物側に声を上げる — 管理会社かオーナーへ。あわせてNTT東日本の窓口にも要望を出します

1から順にやってください。5に飛ぶと、時間がかかるうえに自分では決められません。

選択肢

  1. 部屋の中を直す — 最も速く、最も安く終わります。まずここを潰します
  2. タイプを上げる — 建物が光配線方式なら、契約側で1Gbpsまで上げられる場合があります
  3. 備え付けとは別に、自分で引く — 二重払いになりますが、その日から自分で決められます
  4. 建物側に要望を出して待つ — 費用はかかりませんが、決めるのは自分ではありません

3つ目を選ぶ場合の窓口を置いておきます。申し込む前に、専有部への引き込みが可能かを管理会社に確認してください。物件によってはできません。

ここから先は広告リンクです。当サイトは窓口の順位付けをしていません。並び順は五十音順で、報酬額とは関係ありません。集合住宅で申し込めるかは物件によって変わります。申し込む前に、専有部への引き込みが可能かを管理会社へ確認してください。

  • auひかり(GMOとくとくBB)マンションタイプの提供はauひかりの設備が入っている建物に限られます。エリアと建物の確認が先です

    GMOとくとくBBのauひかり
  • SoftBank 光(NEXT)NTTの設備を使う光コラボです。すでにNTT回線が来ている建物なら、事業者変更で切り替えられる場合があります

    SoftBank 光
  • ドコモ光(GMOとくとくBB)同じくNTTの設備を使う光コラボです。マンションタイプかハイスピードタイプかは、建物の設備で決まります

    GMOとくとくBBのドコモ光
  • NURO 光(公式)独自の設備を使うため、対応しているエリアと建物が限られます。まず提供可否の判定から入ります

    NURO 光
  • ビッグローブ光(アウンカンパニー)NTTの設備を使う光コラボです。auスマートバリューの対象事業者なので、auとUQを使っている場合はセット割も組めます

    ビッグローブ光

工事をせずに済ませたい場合は、コンセントに挿すだけのホームルーターという選択肢もあります。当サイトはまだ提携していないため、この記事では窓口を出せません。扱えるようになったら追記します。

よくある質問

管理費にインターネット料金が含まれています。安くできますか

含まれている分を外すことはできません。ただし備え付けの回線が対象事業者であれば、スマホのセット割を取れる場合があります。回線を変えずに月々の負担を下げる方法です。セット割の記事に対象事業者をまとめています。

VDSL方式かどうかは、どうやって確認しますか

契約している事業者の会員ページか、宅内の機器で分かります。電話線のモジュラージャックに機器をつないでいればVDSL方式です。光ファイバーのケーブルが部屋まで来ていれば光配線方式です。

配線方式を光配線に変えてもらえますか

入居者が決められる項目ではありません。建物所有者の同意が必要です。ただしNTT東日本には、入居者が光スプリッタの設置要望を出せる特設窓口があります。要望を出したあとは、NTT東日本と管理会社と関連業者の3者で進める形になります。

上りだけ遅いのはなぜですか

下りと上りで上限が違う契約があります。auひかりマンションのタイプGは、G契約で下り664Mbps・上り166Mbpsです。オンライン会議やファイルの送信は上りを使うので、下りの数字だけでは判断できません。契約している回線の上りの上限を確認してください。

夜だけ遅くなるのはなぜですか

VDSL方式の場合、提供条件に「集合住宅内の設備状況や他回線との干渉により、通信速度が低下」する場合があると明記されています。他の住戸の利用が影響する構造です。ただし原因の切り分けには、まず有線での測定が要ります。

備え付けとは別に、自分で光回線を引けますか

物件によります。専有部への引き込み工事ができるかどうかを、先に管理会社へ確認してください。引けた場合でも管理費の分は払い続けるため、二重払いになります。

引っ越すしかないですか

その前に層1と層2を試してください。部屋の中と契約のタイプで直ることがあります。建物の配線方式まで行き着いたうえで、要望を出しても動かないなら、住み替えの判断材料になります。

まとめ

  • 遅さの原因は3つの層。層1は自分だけで、層2は自分で変えられる場合があり、層3は建物所有者の同意が要ります
  • 最初にやるのは有線で測ること。ここで層1かどうかが分かります
  • NTTのタイプは3段階。100Mbps・200Mbps・1Gbpsで、上限が10倍違います
  • 1Gbpsのタイプは光配線方式でしか提供されません。建物がVDSL方式なら契約だけでは上げられません
  • auのタイプGは電話線のまま下り664Mbps。ただし上りは166Mbpsで、下りと同じではありません
  • 配線方式は入居者が選べません。申し込み後の構内環境調査で決まります
  • VDSL方式は他の住戸の利用が速度に影響することがあります
  • NTT東日本には、入居者が光配線化を要望できる特設窓口があります。ただし建物所有者の同意が必要です
  • 建物の回線を変える費用を出しているのはオーナー。だから声を上げる先は回線事業者ではありません
  • 管理費込みでも、スマホのセット割だけは取れる場合があります

まず有線で測ってください。話はそこから始まります。

自分で引く場合の特典の受け取り方は、キャッシュバックの記事にまとめています。申請には期限があり、忘れると失効します。

工事の許可が取れない場合は、ホームルーターと光回線の比較を読んでください。コンセントに挿すだけで使えますが、上りの速度が大きく落ちます。

この記事を書いた人
スギシー

通信業界に10年。キャリアショップのSVとして代理店の売上を担当し、うち5年半は共同創業者として経営側にいました。いまは建物管理会社の取締役で、通信の販売からは離れています。

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